ハートリンク放課後等デイサービス本郷台《ABAとは?》
先日、今年度2度目となります、ハートリンク全事業所合同研修会が本郷台にて行いました。本日はその報告と一緒に、研修会でも紹介した私たちの取り組みの根本になっている考え方について、お話させていただければと思います。
さて、研修会の内容ですが、担当は本郷台、テーマは「ADHD」について、と事前に決まっていました。ただ、ADHDという発達障害についてのみまとめて伝えるだけならそれは「報告」であって、わざわざスタッフが集まる必要はない、とも思ったんです。
何のため研修なのか?他教室のスタッフが集まるこの機会にこそ、やるべきことはないか?
そこで、「ADHDについて」と一緒に、私たちは「本郷台の取り組み」として、どのような手法で日々取り組んでいるのかを紹介することにしました。「手法」についてを、ただの情報としてではなく実践に用いるものとして伝えるために、「その考え方を使って問題行動減少へアプローチをするためには」がテーマになっています。
今までブログでもご紹介させていただいた、「強化」「弱化」「環境設定」というワードも、実はこの「手法」を使った支援の要素の1つです。問題行動減少へのアプローチを全て載せると少々長すぎてしまうため、本日はその部分は割愛致しますが、研修資料を使い、まずは「手法」がどんなものなのかをご説明させてください。
私たちの用いる療育の手法を、「ABA(=応用行動分析学)」と呼びます。
基になっているのは「行動分析学」という学問で、それによれば「行動は学習できる・変えられる」「行動はその後に起きる結果によって変化する」とされています。
実際に、人に何か行動(スキル)を教えたり、人の行動を変化(増やす・減らす)させられたら、役に立ちそうじゃないか?理論だけではなく、どうやって実践するんだ?
そこで、「行動分析学、実際にやってみるとこうなります」をまとめたのが「ABA(=応用行動分析学)」という手法です。
日本ではまだまだあまり浸透していませんが、ABA療育というのは高い効果が証明されていて、本場アメリカでは保険適用されています。気になるのが、結局どうやって行うのか?の部分ですよね。
行動を学習させる・変えるために、「なぜその行動は起きたのか?」「その行動の結果、何を得たかったのか?」を分析し、操作をしていきます。
①「行動」に注目する
②行動の「きっかけ」と「結果」を分析、行動が起きた理由を捉える
③「きっかけ」と「結果」を操作して、良い行動は増やし、不適切な行動は減らす
という段階を踏んでみましょう。
今回は3ステップをご紹介させていただきますが、一度でお伝えしきることができないため省いているものも多いので、あくまで「こんな感じのものなのか」という程度に捉えていただければと思います。
まずは①「行動」に注目する、の部分です。
ABAは行動の科学です。実践するためには「行動」というものを正しく把握する必要があります。
行動=死人にはできないこと、と定義させてください。それが行動が、行動ではないかを判別するため「死人テスト」と言うものが存在します。上記①~③までをクリアしたものだけがABAにおける「行動」となります。
例えば「連れていかれる」「横になっている」「しゃべらない」「けんかをしない」といた、能動・状態・否定の形は行動とは呼べません。また、「喜ぶ」「怒る」「悲しむ」といった人の気持ちも、測定・観測が出来ないため行動ではありません。
お子様の行動に対して介入をする際は、「~をする」「~ができる」といった形で対象の行動を定める必要があります。
②行動の「きっかけ」と「結果」を分析、行動が起きた理由を捉える
どんな行動にも、トリガーとなる「きっかけ」と、その「結果」が存在します。「行動」だけを見るのではなく、「きっかけ」「行動」「結果」を繋げてみると、「何を得たかったのか?=なぜその行動が起きたのか?」を把握することが出来ます。
得たかったものの種類によって、行動の理由(その行動が持つ機能)は4つに分けられます。
①何かから逃げたい避けたい時の「回避」②自分をアピールしたい、相手に見てもらいたい時の「注目引き」③感覚的な気持ちよさを得たい時の「自己刺激」④欲しいものがある、やりたいことがある時の「目的物取得」
行動だけみれば同じでも、きっかけと結果が違うと理由が全く異なっていた=必要な対応が違っていた、なんてことが判明する場合もあるので、少し例を挙げてみますね。
③「きっかけ」と「結果」を操作して、良い行動は増やし、不適切な行動は減らす
さて、「何を得たかったのか?=なぜその行動が起きたのか?」が把握できたところで、こちらからの介入方法に移ります。「きっかけ」と「結果」の操作をしましょう。
まずは「結果」の操作です。
「強化」と「弱化」と言う言葉、記憶に残っている方いらっしゃるでしょうか。
何か行動した結果、いいことがあったら、またその行動を取ろうと思いますよね?でも、行動したのに嫌な結果になったら、それをまたやろうとはあまり思わなくなる。
これは皆さんも心あたりがあるのではないでしょうか。ABAでは、この仕組みを利用します。
いい行動には、またやりたくなるようないい結果を与える=「強化」をする。
不適切な行動(減らしたい行動)には、その方法では望みはかなわない、ということを教えやろうと思わなくなる結果を与える=「弱化」をする。
こうして、増やしたければ強化、減らしたければ弱化を行う、と言うのが「結果」の操作です。
次に、「きっかけ」の操作ですが、いくら減らしたい行動があるとはいえ、「弱化」ばかりを行っていたらどうなるでしょうか。
行動した結果、望みはかなわなかった。叱られた。否定された。失敗体験が積み重なる、ということに変わりはありません。できた。褒められた。の成功体験で成長をするためには、「環境設定」を事前に行うことが重要です。
さて、私たち本郷台の用いるABAという手法について、簡単にではありますがどのような考えを持って支援にあてはめているのか、ご説明させていただきました。
つまりどういうことなのか…情報が少なく、イメージし辛い部分が多いかと思います。日々のお子様の様子にも当てはめ、具体的に例も挙げながら、また改めて詳しく発信をさせてください。
他教室の皆さん、研修会へのご参加、ご協力ありがとうございました。
またのご利用、ご閲覧お待ちしております♪