ハートリンク放課後等デイサービス本郷台《いどだな作文(学習)》

言った!絶対言った!!

言ってないし!

言ったんだって!

え?じゃあそれっていつ?何年何月何日何時何分何秒地球が何回周った時?

…はあ。

みたいなやりとり、懐かしいなあって。

あれって、言われた方は相当腹が立つけど言い切った方は妙な爽快感に包まれてましたよね。共感してくれる人、いないかな。

考えてみれば「いつ」という言葉が時制を指していると、当たり前にわかって会話してたってことです。

さて、今週はハートリンク本郷台のプログラムの中から、学習の曜日に実施した【物語を作って絵を描こう】についてターゲットと提示・介入の意図、結果をご報告です。

 

「今日はお話を作るよ」と伝えると、みんな嫌そうな顔をしました。お話を作る=文字を書く、と結びついた子が、多いようです。

なのであくまで「作る」だから先生作った話を教えてくれたら代わりに書くよ!と補足しました。

お話を作る…本当の狙いは、これです。

いどだな作文!!!

 

「いつ」「どこで」「だれが」「なにをした」の4つの疑問詞に沿って文章を書く、という課題です。よく見かけると思いますが、これって相手の話や指示、文章の内容を受信する時、自分の伝えたい事を発信する時の基本となってくる要素ではないかなと思います。疑問詞を理解して初めて、相手からの質問に返答する事ができ、自分の経験や情報を伝える時にも文章の組み立てとしてはまずこれを整理する事が必要です。

よく、「だれが」「なにしてる」を絵を見て記述したりする問題、ありますよね。そこから徐々に疑問詞が増え、「どんな」「どう思った」等の要素も加わったりして。

今回の4つの疑問詞の中では、特に難しいのが「いつ」です。

例えば、自分の話を日記の様に書き出すとして。

そうだ、ファミレスでハンバーグ食べたんだった。と、いうとき、浮かんだ絵の中に、「いつ」は明確な形を持って出てきまはくれません。「夜」「昨日」「○月○日」「~の前」「~の後」「○時」「~したとき」とか、書こうと思えばいろんな書き方ができますよね。それに、時間の感覚や概念がなければそもそも「昨日」や「夜」といった言葉が出てこない場合もあります。「いつ」というのは非常に厄介です。

今回アセスメントを取りたかったのは、みんながどれくらい疑問詞を理解しているか、ということでした。

ただ書き出すだけではつまらないなあと思ったので、皆に書いてもらったものを疑問詞ごとにバラバラにしてシャッフル、一つずつくじのように引いて行き新しいお話を作ってその絵を描くことにします。

「書く」という事にひっぱられあまり乗り気でない子も多かったので、指導員が用意した見本を実際にみんなにくじで引いてもらいモデリングしたところ、「おもしろい!」と興味を引くことに成功!興味を引けたところで「好きな話を作っていいよ」「自分の話でもいいよ」ということと、「字を書いてもいいよ」「嫌だったら先生におしえてくれたら先生が書くよ」ということを再度提示しました。

それまで「嫌だ」が先行して指示に注目をしなかった児童も、一度ひきつけた後ならばそのルールが入った様子です。

「想像する」「好きなものを書く」といったアバウトなものや、その指示の理解が難しい子には少しレベルを下げた課題として「疑問詞の理解」だけに絞り、イラストを見せてそれについてのいどだなを書き出してもらいます。

さて、やっていきましょう!

真剣です!

始めは字を書きたがらなかった子も、自分の好きなことについてなら筆が進む様子。一度自分で書いてみて、「~ってこれであってる?」と確認しにきてくれたり。1枚出来たら「見て!」と持ってきて、2枚目を自分から欲しいと言ってくれる子もいました。

完全オリジナルストーリーの子もいれば、想像ではなく自分の経験を書いた子もいます。また、プリントは「いつ」から始まっていますが、何か一つ情景を想像するとき、先ほど言った通り「いつ」は形がないので難しい。なのでそこで止まっている子にはまず「誰の話?」と聞き、登場人物を決めてもらいます。人物が決まると周りの情報として「どこで」「なにをした」がイメージしやすくなり、最後に「~をした、ということはいつの話?」と引き出しやすくなりました。表出が難しい場合は選択肢で選んでもらうという補助も入れています。

どんなものが集まったかというと…

 

いつ

どこで

だれが

なにをした

 

じゃーーーん!おもしろい!

 

これをシャッフルして、1つずつ児童に引いてもらいました。

「今日」「へやで」「サンタクロースが」「ようかいとたたかった」

という文章が完成。みんな大ウケでした。

サンタさんの部屋なのか、誰かの家にプレゼントを届けに来たところだったのか…。無事勝てたかなあ。

 

これを通して疑問詞のアセスに加えて書字スキルについても一緒にアセスメントが取れました。促音(小さい「っ」)や拗音(小さい「ゃゅょ」)を書くのが難しい、言っている音と書いている音が違う、見比べて書くと鏡になる、といったそれぞれの課題も見えてきます。この子は何に、なんで困っているのかな、というアセスメントを積み重ねて、個別の目標に向けて介入を今後行っていく予定です。

 

「もっと書きたい!」の声も聞こえました。時間の都合上絵を描くところまで行けなかったので次はそこまでやろうねみんな!

 

またのご利用、ご閲覧お待ちしております♪