ハートリンク放課後等デイサービス本郷台《人生ゲーム》
誰もが一度はやった事であるテッパンのボードゲーム。張り巡らされた数多の波乱。無情に回るルーレット。何が起こるかは運次第。いつの間にか絶好調。かと思いきや理不尽な転落。勝敗を決めるのはシンプルにお金!資産価値!車に乗り込んでしまえばもう逃げられない!展開の読めない手探りな道をフルスロットルで進む!その名も人生ゲーーーーーーーム!
人生ゲーム、やりました。
言ってしまえばあれもただのすごろくです。ただ、お金が絡んでくるんですよね。勝敗はゴールした順番ではなく、所有しているお金の量。そこが面白いところです。
本郷台で行ったのは木曜日、【学習】がターゲットの曜日です。なので①狙いと課題設定②取り組みの様子③結果の順に、ご報告をさせて頂ければと思います。
①狙いと課題設定
まずターゲットとしていたのは「お金」です。人生ゲームみたいに、ゲームの中で紙幣や硬貨を実際にやり取りで動かす要素を入れてみたい、というのが当初の予定でした。ただ、市販の人生ゲームはお金をメインに行うにはややこしすぎるんです。「ルーレットの数が~以下だったらA、~以上だったらB」みたいな。字も小さいし、長いし、ちょっと大変かな、という事でオリジナルを作ることにしました。人生ゲームを買うのがもったいなかったわけではありません。という事にしておいてください。
人生ゲームを作る、どんなゲームにするのがいいでしょうか?
まず考えたいのは、あくまで「お金」が狙いであるということ。一般的な人生ゲームにはお金以外の項目がありますが、ルールが多くなりすぎるのでそれは排除しました。すべてのマスでお金のやり取りが起きるものを考えます。今回は「払う」「もらう」この2種類としました。「~をしたから~円はらう/もらう」というイベントが発生します。
お札のやり取りで大きな金額が動いた方が人生っぽくて面白そう、だけど大きな数の計算が難しい児童もいます。1+1=2、10+10=20、100+100=200、10万+10万=20万、全て、やっている計算は皆さん同じではないでしょうか?位が揃っている時の計算は、わかってしまえば小さな数同士の計算と同じですが、それをまだ未学習だったり、何より、大きな数、大きな金額、身近でなければ想像するのが難しい場合もあります。
なのでレベルを2つに分けて、10万単位の金額が動く「大富豪バージョン」と10円、100円単位で動く「お小遣いバージョン」を用意しました。両面のホワイトボードを使い、教室の真ん中に設置。やりたい方の面に移動してもらう事にしました。
さて、どんなゲームかが決まったのですが、実際にやるだけではもったいないのでみんなにマスを考えてもらう、という工程も入れたらどうでしょうか?
「マスの字を書く」「自分で10万単位もしくは10単位の数を数字で書く」「理由を考える」と言ったスキルも一緒に見られちゃいますね。いくつかマスを空けておき、「~から~円はらう/もらう」を紙に書いて好きなところに貼ってもらい、みんなで完成させることにしました。
②取り組みの様子
「人生ゲーム」というのはあくまで固有名詞のようなものだと思います。人生ゲーム、見たことも聞いたこともない子はちょっととっつきにくくなってしまうかもしれません。なので始めに「人生ゲーム知ってる?」ではなく「すごろく知ってる?」と聞きました。すごろくをやったことのある子は多いです。サイコロを振っていき、最後に一番お金持ちだった人の価値であることを伝えました。
「大富豪バージョン」と「お小遣いバージョン」に分かれてもらい、マスを書き出していきます。
理由まで付けて0から考えるのは難しかったりします。「一文を完結させるのが難しい」「「はらう/もらう」の意味理解が難しい」「お金のやり取りの想像がつかない」等々、いろいろな原因は考えられます。まずは「はらう/もらう」という言葉の意味を確認し、文章の組み立てに関してはまず質問して、「はらう/もらう」どちらにするかを考えました。
選んだら次は、「何円」にするのか、そして最後に、理由を付け足していく、という形で補助を入れていきます。
できたら、すきなところに貼っていき…
完成したら、スタートします!
③結果
一番のターゲットとした「お金」に関して。
同じ単位同士の計算、10円玉が~枚だから~円、100円玉が~枚だから~円、ということが、実際にお金のおもちゃを使った為自然と生まれます。そこから全部合わせていくら、違う単位の硬貨をまとめてかぞえる時など、視覚補助があるとよさそう、というのが分かりました。「はらう」と言われたら自分の持っているものを銀行係の指導員に渡す=「減る」という感覚等、遊びながら体験できました。「ええ~」と渋々渡す様子も見られました。
お金を数えるスキルについて、やり取りするスキルについてのアセスメントになりました!実際のお買い物などにも般化出来るお金の学習を今後も取り入れていきます。
説明して作って行うところまで正味1時間。集中して取り組めていた児童が多かったことに感動です。自分の番をホワイトボードの前で座って待つことが自発的に出来ていました。
「マスを考える」というところで、「これは難しいな」と思われてしまってはその先の取り組みも消極的になってしまいます。少々現実的ではなくても好きな内容を書いてもらったり、「書くのは先生やるから言葉で教えて」と促したり、補助の出し方はその子によって違いました。
自分から「難しい」と言ってくれた児童もいます。難しいと思わせてしまった指導員の課題設定と提示を見直す必要があります。そうやって表出してくれた場合は見学するか、一緒にやるかと言った選択肢を出しました。
初めての取り組み、まだまだ未完成。改善の余地あり。私たちも手探りフルスロットルで進んでいます。
では最後に勝敗を決めるのは何でしょう??
そもそもゴールを作るという事が、負けを表しているような気がしますね。
またのご利用、ご閲覧お待ちしております♪