ハートリンク放課後等デイサービス本郷台 《子どもの他者理解》

こんにちは。ハートリンク放課後等デイサービス本郷台です。
9月に入り、夏も終わりが近づいてきましたが、まだまだ暑い日は続くので、水分補給をしっかりとして、熱中症に備えてください。
さて、今回のブログは、「電池人間」というゲームのターゲットとした、子どもの他者理解について書きたいと思います。

他者理解とは?

自分とは立場や考えの違う人がいると理解し、相手の気持ちを考えられることを他者理解といいます。
では、子どもの他者理解はどのようなものなのでしょうか?

子どもの他者理解

子どもの他者理解は、他者の感情を理解することや、自分と他者のこころの中(気持ちや思い)の違いに気づくようになることです。
では、子どもたちはどうやって他者の感情を理解しているのでしょうか?

他者の感情理解

子どもが他者の感情を理解する際には、表出的てがかりと状況的手がかりを使っています。
また、他者理解には自己理解が深く関わっており、自己理解をする事で他者理解にも繋がります。(逆もあります。)
表出的手がかり
表情、音声、しぐさなどを指します。特に表情を手がかりとして使う事が多いです。子どもが表情を手がかりにする時は、まず口の部分に注目してネガティブな表情の悲しみと怒りを区別します。
状況手がかり
感情が生じる場面を理解することを指します。場面から判断して、他者がどのような感情になるのかを考えます。ポジティブな感情が生じるのか、ネガティブな感情が生じるのかについては、子どもは簡単に区別できます。しかし、「悲しみ」「怒り」「恐怖」など様々なネガティブな感情が生じる状況を区別するのは、少し難しいようです。
この二つの手がかりを訓練し、同時に自己理解、他者理解を促すために、ハートリンク本郷台では「電池人間」というゲームを行いました。

ルール

・1回戦目
1、2チームに分かれる。
2、頭の上に軍手を丸めたものを乗せる。
3、それを落とさないように歩き回る。
4、軍手は電池、軍手を落とすと動けなくなる。
5、自分のチームで動けなくなった人を見つけたら、動ける人が軍手を乗せてあげる。
6、先に全員動けなくなったチームの負け。
7、制限時間3分を過ぎても決着がつかない場合、残り人数で勝敗を決める。
・2回戦目
1回戦目のルール+動けなくなった人の頭に軍手を乗せたら、乗せた人にポイントが入る。
(1回戦目で助けなかったのは分からなかったためか、メリットがなかったためか判断するため。)

1回戦目

頭の上に軍手を乗せてバランスを取ることが上手い児童が4人おり、その内の3人は積極的に同じチームの児童を助ける様子が見られました。軍手を落とした児童は、動きだけでなく、声も表情も止めていたので、助けた児童は状況手がかりを用いて他者理解をしていたと推測されます。もう一人(児童A)は助ける様子が全く見られませんでした。

2回戦目

2回戦目から、他児を助ける度に1ポイント入るようになりました。しかし、自分の軍手が落ちないように精一杯になり、他児を助ける頻度が低くなりました。指導員が「落ちちゃった人は助けを求めてみて」と促したところ、軍手を落とした児童から立て続けに「助けて!」という声が聞かれました。それからは、他児を助ける頻度が高くなりました。ここから、ポイントが入る事よりも、自分の軍手を落とさない事を優先する様子が見られ、それでも、声による表出的手がかりがあれば、助ける事を優先する様子が見られました。
今まで、他児を助けなかった児童にも、他児を助ける様子が見られました。しかし、今まで他児を助けなかった児童の何人かは、同じチームではなく、相手のチームの児童も助ける様子が見られました。状況手がかりと表出的手がかりを用いて他者理解は出来ていますが、指示理解が難しい様子が見られました。児童Aは、他児から「助けて!」と言われると「イヤだ!」と言う様子が見られました。その一方で、児童Aが軍手を落とした時、他児に対して「助けて!」と大きな声で言う様子が見られました。児童Aは他児に助けてもらいました。すると、それがきっかけで児童Aも他児を助けようとする行動が見られるようになりました。ここには、「助けてもらったら嬉しい(自己理解)」→「他者も嬉しいのではないか、やってみよう(他者理解)」といった心の動きがあったのではないかと考えられます。
ただ、児童Aにも、同じチームではなく、相手のチームの児童も助ける様子が見られました。自己理解からの他者理解は出来ましたが、指示理解が難しいのではないかと推測されます。

楽しみながら他者理解を促す

この様に楽しみながらゲームを行う事で、自然と他者理解を促す事が出来ました。これからもハートリンク本郷台では「楽しみながら出来ちゃった」となるように、他者理解を促していきたいと思っています。
またのご閲覧をお待ちしております。
参考文献
平林秀美.心の理論の発達と他者の感情理解.発達.2015/10/25,36,21-26