ハートリンク放課後等デイサービス本郷台《どんな気持ちゲーム》

こんにちは。ハートリンク放課後等デイサービス本郷台です。
爽やかな秋風にのって、キンモクセイの甘い香りが感じられる季節になりましたね。
ハートリンク本郷台では先日、SSTとして「どんな気持ちゲーム」を行いました。

SSTとは

SSTとは、ソーシャルスキルトレーニングの略称で、人が社会で生きていくうえで必要な技術を習得するための訓練のことです。
では、人が社会で生きていくうえで必要な技術とは、どんな技術でしょうか?

技術の具体例

・ルールを理解することが出来る。
・状況を判断することが出来る。
・話を聞き取ることが出来る。
・質問、回答することが出来る。
・相手の表情の変化に気づくことが出来る。
・場の状況にあった人との距離感、声の大きさ、正しい姿勢などを取れる。
・自分の感情を理解することが出来る。
・他者の感情を理解することが出来る。
・相手の立場や性格を理解する。
など

これらの技術が不足していると

「先生や友達の話を聞けない」
「自分の事ばかり話す」
「友達の中に上手く入れない」
「子ども同士のトラブルが目立つ」
などの問題が生じます。

狙い

これらの技術の中から、どんな気持ちゲームでは
①自己理解

ある状況を、自分はどう感じるのか

②感情表出

感じた気持ちをことばや表情で表すことが出来るか

③他者理解

他の人はそれをどう感じるのか

の3点を狙いに実施しました。

自己理解、感情表出、他者理解が出来ると?

「自分の思いを相手に伝えられる」
「相手の気持ち、立場を理解して関われる」
「友達同士の衝突が減る」
「自分も友達も大切にできる」
などが出来るようになります。

用意するもの

気持ちチップ

お題カード

チップと言葉の対応表

人数分のトレイ

ルール

①子どもに気持ちチップを1枚ずつ見せ「この顔はどんな気持ちだと思う?」と確認する。子どもから出てこない場合は、チップとことばの対応表を見せながら確認する。チップとことばの対応表はゲーム中も確認できるようにする。
②気持ちチップを1枚ずつ子どもに配る。
※この時、子どもによってはチップが気になり、いじって話が聞けなくなる場合もあるので、チップはトレイに置くようにする。
③指導員がお題カードを読み上げ「こんな時はどんな気持ちになるか考えて、その時の気持ちに一番近いチップを心の中で決めてください」と言い、いっせーのせでみんな一緒に机の中央辺りに出す。
④どうしてそれを選んだのかを説明してもらう。
※子どもへの注意

・このゲームは正解や不正解などはなく、多数派の意見がよいというわけではないこと

・それぞれの選択や発言を尊重し合うこと

・相手を否定しないこと

・ふざけてわざと不適切な答えを選ばないこと

・指導員は、あたたかく共感的な雰囲気で行われるように留意する

それでは、どんな気持ちゲームの開始です!

お題①「練習していたなわとびができるようになった」

全員すぐにチップを選ぶ事が出来ました。全員が「うれしい」のチップを選びました。児童Bと児童Cは理由も話す事ができ、児童Cに関しては「今まで出来なかったものが出来たら嬉しいから」と話す事が出来ました。一方、児童Aと児童Dは理由を話す事が難しい様子が見られました。
 

お題②「うまくできたブロックにお父さんがぶつかってこわれた」

児童Bはすぐにチップを選ぶことが出来ました。他の児童は少し時間がかかり、児童Aに関してはかなり時間がかかりました。児童Aは他の指導員が個別で支援を行い、チップを選ぶことが出来ました。児童Bは「いかり」のチップを選び、他児童は「かなしい」のチップを選びました。全員がチップを出した時、児童Cが「えっ!違うのがある!」と言いました。指導員が、違う答えでもいいこと、正解や不正解はないことを伝えました。児童Bは「せっかくうまくできたのに壊されたからイライラする」と理由を話す事ができ、それを聞いて児童Cも納得していました。
  

お題③「家族でレストランに食事に行ったら、よその赤ちゃんが大きな声でずっと泣いている」

このお題も児童Aには難しいらしく、別の指導員と個別で考えました。児童Bは「うれしい」のチップを選び、他の児童は「こまった」のチップを選びました。いっせーのせで出した時、児童Cが「うれしい」のチップを見て「えっ!なんでうれしいなの?おかしいよ!」と言いました。指導員が再度、正解や不正解はないこと、更に、それぞれの発言を尊重すること、相手を否定しないことを伝えました。児童Bには「ちゃんと理由があるんだよね?」と聞きました。児童Bはちゃんと理由があると返答し「泣いてたら困るけど、赤ちゃんだから安心する」と答えました。それを聞いた児童Cは「そういう考え方もあるんだね」と理解する事が出来ました。このお題について、児童Cは「大きな声で泣いているとうるさいから困る」と理由を話す事が出来ました。

楽しみながらできちゃった

ゲームの合間に児童Cから「このゲーム楽しい。自分の感情を整理するの楽しい」という発言が聞かれました。
これからもハートリンク本郷台では「楽しみながらできちゃった」となるように、SSTを行っていきたいと思っています。
またのご閲覧をお待ちしております。
参考文献
特別支援教育デザイン研究会.「使い方・解説~表情カード~」.ようこそ!気持ちの広場へ.<https://sn1.e-kokoro.ne.jp/kimochi/use/hyoujyouka-do.html>(参照日2020/09/28)