ハートリンク放課後等デイサービス本郷台《来年度に向けて③ターゲット》
唐突ですが個人的には、『友達と仲良く遊ぶ』ことほど難しいものって、そう存在しないのではないかと思います。
仲良くって、なんでしょうね。友達って、どんな相手の事を指すんでしょうか。それは誰の願いで、できているかできていないかは誰が判断するんでしょうか。
スキルとか、困り感とか、ニーズとか、そういうものを考え始めると、細かく見すぎてすごく自分がひねくれもののような気がしてきます。でもそれが私たちの仕事…だと思ってます。あくまで個人的には、の話です。
さて、先日は桂台にあるログハウスに行ってまいりました。
自分が小学生の時以来10何年振りに感じたあの木の香りに、子どもを置いて真っ先に走り出したくなったのは秘密です。
最近恒例になりつつありますが今回も今回とて、ルールをしっかり確認してから出発です。
ということで今回のSST、始まります!
どうやら、3人で一緒に壁にはまったバランスボールにラケットでボールを当てる遊びをするようです。
「じゃんけんで順番決めよう」「いいよ!」なんてやりとりをしまして。実際に遊び始めたはいいものの…?
前の子を押しのけて、ラケットを取ろうとしています!
押した子、ラケットをゲットできて楽しそう。押された子、床に倒れ込んで苦しそう。
そこで考えるのがこの5項目。
①で状況を整理して、②で行動の理由を表出し、③で他者に意識を向けていきます。
④で、良くない行動の理由(=約束の理由)を考え、⑤で約束自体を提示するという流れです。
ここで注目したいのは、今回の授業の『ターゲット』と、その設定基準です。
『ターゲット』は、ログハウスのような複数の子どもが集まる中で「順番を守る」ことと「周りを見て遊ぶ」こと、ぶつかった場合は「ごめんね」を伝えることをルールとして意識した上で遊ぶこと、の、つもりでした。
そのつもりでモデリング動画も撮ったのですが、当日来る子のレベル的に、座って約束を「確認」するだけでなく「考える」ことができそうだなと思ったので、予定変更です。
「みんなで遊ぶ時のルールを考える」ことをターゲットとしました。
なので写真を撮るのを忘れてしまったのですが、前回のように床に座って話を聞くのではなく、机を囲み、話し合いのような形を取って実施しています。考えは手を挙げて発言してもらい、それを指導員が紙に纏めていきます。これはオマケなのですが、①の部分で「押した」「押された」等、話す時の文法についてもさりげなく学習をしました。
「考える」時に重要なのが④の理由の部分です。理由を先に出す事で、「~だから、~をする(しちゃいけない)」という根拠のあるルールを考える事ができるようになってきます。
すごく面白いなあと思ったのが、この動画を見て②の部分で、押した理由について、「自分はジャンケンに負けて悔しいのに相手が喜びすぎてるから」と回答した子がいたことです。
撮っている側は全く意識していなかったのですが、とてもいい気づきだと思いませんか?
これはまた別のSSTになってきますが、そういう部分のコントロールも立派なソーシャルスキルですよね。
2つ目では、一方でかるた、一方でブロック遊びをしている動画です。
お互い楽しんでいるようですが…
かるたを取るのに夢中で、どーーーーーん!と、ブロック遊びをしている子にぶつかってしまいました。
夢中すぎてぶつかったということに気づいてすらいないようです。
また、同様の手順で考えていきます。
①では「だれが」「なにをする」を意識して説明する要素も入れてみました。言ってくれたことを、「~ってことだね?」とフィードバックし、適切な形で本人からもう一度伝えてもらう、という手順を踏みます。もちろんあくまでターゲットは別にあって、手を挙げて沢山考え、沢山発言してもらう事が大切なのでやりすぎて嫌にならないように無理のない範囲で行います。
③では、視覚補助として表情と気持ちが一覧になったものを見せて考えてもらうと、始めは「やなきもち」とだけ言っていた子が「いたい」「くやしい」「かなしい」等、具体的に挙げる事ができました。
⑤で、「周りを見て遊ぶ事」と同時にもう1つ、ぶつかった時に何かを言い忘れているよね、という話をして「ごめんね」を伝えることも、ルールに加えていきます。
そして最後に振り返り。
動画で考えたことでもよし、他に思いついたことでもよし、思いつくルールを上げてもらいました。
という感じで、今回のように「ログハウスでのルール」として行きつくターゲットは同じでも、レベルはその子によって変わってきます。
ログハウスの中でボールがぶつかってしまったとき、自分からすぐに「ごめんね」と言えたこと、すてきです!
自分で考えた事、発言したこと、しっかり般化に繋がりました!いえい!
土橋