ハートリンク放課後等デイサービス本郷台《SSTについて》

こんにちは。ハートリンク放課後等デイサービス本郷台です。 皆さんはSSTをご存知でしょうか? SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは、人が社会で生きていくうえで必要な技術を習得するための訓練のことです。 では「人が社会で生きていくうえで必要な技術」とはどのような技術を指すのでしょうか?

技術の具体例

  1. ルールを理解することが出来る(集団参加行動領域)
  2. 状況を判断することが出来る(集団参加行動領域)
  3. 話を聞き取ることが出来る。(言語的コミュニケーション領域)
  4. 質問・回答することが出来る。(言語的コミュニケーション領域)
  5. 相手の表情の変化に気づくことが出来る。(非言語的コミュニケーション領域)
  6. 場の状況にあった人との距離感、声の大きさ、正しい姿勢などを取れる。(非言語的コミュニケーション領域)
  7. 自分の感情を理解することが出来る。(情緒的行動領域)
  8. 他者の感情を理解することが出来る。(情緒的行動領域)
  9. 自分を過小、過大評価せずに適切に自己評価出来る。(自己・他者認知領域)
  10. 相手の立場や性格を理解する。(自己・他者認知領域) (SSTの領域などを分ける場合、色々な考え方があります。)

この技術が不足していると

「先生や友達の話を聞けない」

「自分の事ばかり話す」

「友達の中に上手く入れない」

「子ども同士のトラブルが目立つ」

などの問題が生じます。

そこで、ハートリンク放課後等デイサービス本郷台では様々なSSTを行っております。 先日にも、「進化じゃんけん」というゲームを通してSSTを行いました。

 

進化じゃんけんのルール

・全員カードを3枚ずつ持つ。

・最初は全員カエルからスタート。

・じゃんけんして勝てたらカエルはライオンに進化出来る。

・負けた人はカエルのまま。

・カエルの人はカエルとライオンの人はライオンとしかじゃんけんできない。

・ライオンは勝ったらヒトになれる。

・ヒトもヒトとしかじゃんけんできない。

・ヒトは勝ったら神様になれる。

・神様になったらボールを1つ取る。

・神様は誰とでもじゃんけん出来る。

・神様に勝った動物は2回進化出来る。進化した時に「神様ありがとうございました」と言い、自分の持っているカードを1枚渡す。

・神様同士がじゃんけんした場合は、勝った方がカードを貰える。

・全員が神様になった時点で終わり。

・カードを一番多く持っていた人が優勝。

進化じゃんけんの狙い

①指示を理解すること

②状況を判断すること

③分からない時は質問すること

 

児童にはホワイトボードを用いながら説明を行います。また、児童の目の前で指導員が見本を見せます。聴覚だけでなく視覚に訴えることで、児童にとって分かりやすい説明になるからです。さらに、本番の前に一度練習をしてもらう事で、身体感覚にも訴える事ができ、よりルールを理解出来るようにします。

いよいよ、進化じゃんけん開始です!

1回戦目

勝った時にどうすればいいか分からない、誰とじゃんけんすればいいか分からない等、指示を理解する事が難しい様子が全般的に見られました。特に、神様になった時に、どう行動すればいいか、どうなったらカードを貰えるのかを理解する事が難しい様子でした。

何人かの児童は、自分から「どうすればいいですか?」と適切に聞く事が出来ていました。質問する事が難しい児童には、指導員の方から「それってそれでいいんだっけ?」と声かけをし「分からない時はどうすればいいかな?」と適切な行動を促しました。すると「分からないので、教えて下さい」と言えるようになりました。このように、適切な行動が取れた時には、必ずほめるようにします。

分からない時に適切に質問することは、ゲームの場面以外でも訓練が出来るので、日常生活の中でも出来るように促します。

中には、どうすれば優勝出来るかが分かっていて、優勝するための近道を判断し、行動に移すことが出来る児童もいました。

 

2回戦目

慣れてきたのか、指示を理解出来ている児童の数が増えました。

 

3、4回戦目

すぐに全ての児童が神様になってしまうので、ルールを追加しました。じゃんけんの部分を四点じゃんけんに変えました。

四点じゃんけんとは、負けた際に、左ひざ→右ひざ→左ひじ→右ひじの順に地面についていき、全部ついたら「参りました」と言うじゃんけんです。 ルールを追加したことにより、児童にとってはまた指示理解が必要となってきます。 慣れによって脳への刺激が少なくなるのを防ぐ事にも繋がります。

四点じゃんけんは児童により、スッと入る児童となかなか入りづらい児童がいました。入りづらい児童には指導員が付き「負けた時はどうするんだっけ?」「体のどこかを地面につけるよ」等の言語補助を行いました。

この四点じゃんけんは中々勝敗がつかないので、更にゲーム性は上がり、白熱した進化じゃんけんを繰り広げる児童が増えました。

状況を判断できる児童の数も増えました。進化じゃんけんは、退化することがないので、じゃんけんを早くすればするほど優勝に近づくのですが、それを理解し「早くじゃんけんしなくちゃ」と焦る児童も出てきました。また、自分がヒトの時は神様とじゃんけんする事はデメリットしかないので(ヒトは一回しか進化出来ない上に、神様相手に進化するとカードを取られてしまうため)ヒトになった児童が神様から逃げ回る様子も見られました。

このように楽しみながら、指示を理解し、状況を判断し、分からない時には聞く事が出来るトレーニングを行う事が出来ました。

ハートリンク放課後等デイサービス本郷台では、これからも遊びを通して楽しくSSTを行っていきたいと思います。

またのご閲覧お待ちしております。

 

参考文献

三重県総合教育センター、育てよう! ソーシャルスキルを学校で、閲覧日2020/06/13

URL: http://www.mpec.jp/user/socialskill.pdf